最後にリストまとめてからだいぶ時間が経ったし、いまだにナーセットを組んでみようとする人が現れたりもするので整理とデッキ解説もかねてリストまとめてみよう。数枚しか入れ替えてないけど。



カードごとの役割とか、採用の理由などを一度書き出してみたかった。

以下の文章は個人の経験と主観に基づくものなので、一概に「これが正しい」「こうすべきでない」を断じるものではないことを断っておく。

カードの取捨選択の理由として「かくかくしかじかで弱いと判断した」に類する表現が出ることはあるかもしれないが、それはあなたのデッキ構築を否定するものではなく私個人の感想である。


リストの説明の前に、まずEDHにおけるナーセットについて軽く触れておこう。
興味ないって人は少し読み飛ばしてくれれば
ここからが本題
って書いてる箇所が出てくるからそこまでスクロールしてほしい。

能力は以下
Narset, Enlightened Master / 悟った達人、ナーセット (3)(青)(赤)(白)
伝説のクリーチャー — 人間(Human) モンク(Monk)
先制攻撃、呪禁
悟った達人、ナーセットが攻撃するたび、あなたのライブラリーの一番上から4枚のカードを追放する。ターン終了時まで、あなたはそれらのカードの中からクリーチャーでない呪文を、それのマナ・コストを支払うことなく唱えてもよい。
3/2


あまりに強力な踏み倒し能力である。非クリーチャーであること以外に唱える枚数すら制限がなく、条件も攻撃するだけでよい(稀に”戦闘ダメージを与えるたび”と勘違いされるが、ダメージを与える必要はない)。加えて呪禁。初めてこのカードを見たときに「ヤバイ!!」と思った人も少なくないだろう。
しかもこれを統率者にすればデッキにクリーチャーを入れる必要がない!なんて恐ろしいデッキになるのだろう!多くの人がそう思った。もちろん私も。

が、過去の話である。タルキール覇王譚から6年という月日は彼女の君臨を許しはしなかった。
度々私のDNを読んでくれている方やツイッターをフォローしてくれている方ならもう聞き飽きたと思うが。
「今のナーセットは、弱い」
……。
いや、弱いは言い過ぎた。弱いというほどではない。だが所謂”ガチ”を想定した場合、彼女のポテンシャルは不足していると言わざるを得ない。
WotCが提示した以下のスケールでいうと、7相当に位置するジェネラルの1体だろう。

https://twitter.com/mtgjp/status/1279618510239326208?s=20


昨今のMtG全体のインフレの波は荒く、EDHですら無関係ではいられない。
厳しいことを言うようだが、リソースを吐きつくして3キルできる程度では手放しに「強い」とは言われない。
対応力がなく、復帰力もなく、あらゆる妨害パーマネントが刺さり、攻撃を受けることもできない。
これだけの弱点を飲んで組んでも最高速度はイナーラに届かない。

明確な強みがある程度の評価が関の山なのだ。

「ナーセットが”恐ろしい敵”ではなくなること」は、ガチ(Hi-Powerな)EDHの入門編最初の壁なのかもしれない。


と、ここまでこき下ろしていても私はこのデッキを使う。理由は明確だ。
追加ターン追加戦闘連打しながらデッキ公開ソリティアするの、メチャクチャ気持ちイイ~~~~~~!!!!
からだ。あと無意識の内に勝手にフルホイルになったのできらきらしてきれい。

その能力の派手さ故に過剰に持ち上げ恐れられ、オールインソリティアゆえに忌み嫌われる割に実はそんなに強くない。すごいかわいそう。





ネガキャンはこれくらいにして、全体のリストは以下。
ここからが本題
https://dig.cards/decks/magicthegathering/175233

基本思想は”長所を伸ばす”ことを念頭に置く。上記の通り対応力も復帰力も望めないジェネラルである以上、中途半端に短所を補うくらいなら狙いを絞って特化させて行こう。数年前の設計思想ではあるが「やられる前にやれ」だ。
・遅くても4ターン目に攻撃
・能力の当たり枠(ガチャのSSR)を増やす
を方針に、無理のない範囲で復帰力・対応力を補っていく。

ナーセットのメインボードにおける役割は大きく3つ。
1.マナを出すためのカード
2.ナーセットで踏み倒すためのカード
3.その他補助カード
それぞれについて飽きない程度に詳細に語ってみたい。



1.マナを出すためのカード
猿人の指導霊
捨て身の儀式
発熱の儀式
煮えたぎる歌
炎の儀式
Copy Artifact
金属モックス
永遠溢れの杯
ライオンの瞳のダイアモンド
水蓮の花びら
魔力の墓所
モックス・ダイアモンド
オパールのモックス
魔力の櫃
太陽の指輪
通電式キー
秘儀の印鑑
アゾリウスの印鑑
ボロスの印鑑
厳かなモノリス
イゼットの印鑑
精神石
発展のタリスマン
連合の秘宝
彫り込み鋼
摩滅したパワーストーン
スランの発電機
金粉の水蓮
各種土地

”マナを伸ばす効率がいい物から採用している”
4ターン目に攻撃するためには、3ターン目のキャストが妥当な条件だ。2ターンで5マナ、土地を置いてプレイが王道だろう。
0~2マナのマナ加速、設置コストより多くマナの出るマナアーティファクト、瞬間的なマナ加速を優先した。
1枚1枚書くほどではないが、数枚取り上げて紹介する。

・マナを大きく増やすカードで任意の色マナを供給するものは少ないため、《タリスマン》よりも《印鑑》を優先して採用している。
・《レイモス》シリーズの採用も検討したことがあるが、やはり3マナのマナファクトは使いにくい場面が目立つ。
次のターンに+2マナ出せる3マナファクトのうち使い勝手のいい《連合の秘宝》《摩滅したパワーストーン》《掘り込み鋼》を残す形に落ち着いた。
とはいえ《金粉の水連》がやや過剰なシーンもあるので、ここを差し替える選択は十分アリだろう。
・《波止場の恐喝者》も強力な候補だが、最近はマナファクトを高速展開するデッキ自体が多くないため、1~2ターン目のプレイが安定しない可能性があり採用を見送っている。試す価値は十分にある。
・《発生器の召使い》も有力な候補の一つ。
ただ凡そターンが帰ると勝ちに繋がるが故に「ジェネラル相手に腐るので足止めはココ」と除去を集めやすく、《ナーセット》で踏み倒してさらなるマナ伸ばしにも貢献できない点が気になり不採用とした。
・《古えの墳墓》《水晶鉱脈》《裏切り者の都》 2マナ出せる土地は使いきりであっても重要。
サクリファイスランドや枯渇ランドはタップインが痛い。2マナランドを起点にファクトを展開→ナーセットキャストの流れができないため不採用。
・《山賊の頭の間》 最重要土地といっても過言でない。展開が1ターン遅れたとして速攻付与はより大きなリターンになる。
・《魂の洞窟》 ごくまれに土地を奪われる可能性をケアしてモンクを宣言しよう。人間よりはかなり少ない。
・五色地形で有名なもののうち《反射池》と《風変りな果樹園》は先手1ターン目にマナが出ないため採用しない。土地1キープが頻発するため非常に不安定。


2.ナーセットで踏み倒すためのカード
運命のきずな
Capture of Jingzhou
Temporal Manipulation
時間のねじれ
カーンの経時隔離
水の帳の分離
永劫での歩み
時間の熟達
明日の標
召し上げ
時間の伸長

連続突撃
今を生きる
攻撃の波
世界大戦
大群の怒り

アミナトゥの占い
無限への突入
全知

19枚。存外少ないが、《思い起こし》などの回収呪文や《呪文ねじり》など初回不発カードを足して22枚。
4ターン目のナーセット攻撃までに約10枚のカードを消費しているとはいえ多少心もとない。後述の理由で今後さらに枚数が減りそうなので、新たな候補を検討したい。
ナーセットはガチャ回してナンボなのでここは質・量ともに良いものを選んでいきたい。
・対象を取る追加ターン呪文 《偏向はたき》とかいうやつ許せん。《経時隔離》《伸長》は取り返しのつかないことになるのでOUTした方がいいと思う。
単純にまだ洗礼を受けてないから抜けていない甘え枠。とはいえ《経時隔離》は締め付け系の妨害を跳ね除けながら追加ターンが得られるので環境次第。
・《世界大戦》 使用可能タイミングに結構厄介な縛りがあるので、チェインしているとたまにハズレ枠になる。
それでも手打ちした場合の反復は魅力なので採用。
・《今を生きる》 FBが軽く非常に使いやすい。《ギャンブル》でサーチする候補として最有力。
短所はクリーチャーを対象に取るため《偏向はたき》される。なんで相手のクリーチャーも対象に取れるようにしたんですか?

採用を見送っている追加ターン/追加戦闘獲得カードの不採用理由
・《時間への侵入》 英語foilが見つかってない 手打ちするにはあまりにも重いので引きたくない。《伸長》の代わりに採用しそう。
・《瞬間の味わい》 アンタップしないとか論外です。
・《最後の賭け》他 チェインしないと話にならないため。
・《時の縫い合わせ》 実は採用を迷っているけどコインを信用できない。
・《追い打ち》 せっかく踏み倒したのに5マナも追加で払えないので。特に速攻付与していた場合に本当に弱い。
・《狂暴な打撃》 おそらく経時隔離の代わりに採用するならこれ。アレ、むしろなんで今入ってないんだ…?
しいて挙げるなら戦闘後のメインを挟まずに戦闘→戦闘でターンが運ぶのが微妙に使いにくい。《命運のきずな》のために1枚枠を削ろうとしたときに《世界大戦》と迷って絵が好きな《世界大戦》を残したとかその程度の差。
・《反応+反正》 追加戦闘獲得に合わせてアンタップしないので手打ち専用。流石に踏み倒せないカード入れる必要はないよね…。

3.その他補助カード
役割がふんわりしている自由枠なので、上記基本枠より多少詳細に語りたい。

3.1 速攻付与
たなびく真紅
さらなる速さ
ドラゴンの息

速攻付与はこれに《山賊の頭の間》を合わせて4枚。《神秘の教示者》《悟りの教示者》でサーチできるようインスタントとエンチャントで散らしている。
・《たなびく真紅》 キャントリップが染みる1枚。
促進でもいいんだけど、クリーチャーが赤くなるので後出しラワンを回避したりアニマーのプロテクションを回避したりできる。
・《さらなる速さ》 最強の速攻付与。儀式の都合上赤マナが余ることが多いので、余剰マナで先置きしたりするとCOOL
・《ドラゴンの息》 実はまだ1度も使えてないんだけど、復帰力が微妙に底上げできるのが偉い。あと火吹きが微妙に先制攻撃と相性がいい。

全体除去が多い環境では速攻付与の枚数は増やした方がいいが、《集団恐慌》は先置きのリスクが非常に高い。《アシュリングの特権》も同様のリスクがあるが、逆にマナクリーチャーなどのチェインを阻害するケースもあり幾らか使いやすい。《熱情》まで来ると流石に重すぎるか。《稲妻のすね当て》は強力な追加戦闘呪文《今を生きる》が腐ってしまうため不採用とした。他にクリーチャーがいないので付け替えることも困難だし、呪禁が既にあるので防御面では魅力が薄いのも理由の一つ。


-除去・カウンター
浄化の印章
オアリムのいかづち
蒸気の連鎖
サイクロンの裂け目
水流破
白鳥の歌

こちらも《教示者》の噛み合いを兼ねてインスタントとエンチャントをで散らしている。ナーセットはパーマネントの妨害に弱いので外せない生命線。
それでもナーセットガチャとしてはハズレ枠になるので、必要最低限にしたい。
・《浄化の印章》 ナーセットで捲った時に壊すもの無くてもとりあえず置ける。
インスタントの駆け引きは割と捨ててもいいデッキなので、《教示者》の兼ね合いから解呪よりも優先される。
・《オアリムのいかづち》 このデッキで2番目にテキストを確認されるカード。クリーチャーと余計な置物を破壊できる。
あとインスタント火力なので先制攻撃と相性がいい。
・《水流破》 青いほうです。全体火力/締め付け/血染めの月などなどに対処するため採用。パーマネントにはあとから対処できるのが結構助かる。
最近は脱出や波止場がらみのコンボ妨害に使われたりする。極々稀にたなびく真紅で赤くしたクリーチャーを破壊できるぞ。
・白鳥の歌 カウンターはこれだけ。カウンターをカウンターできて、一部パーマネントを打ち消せる。
ピッチカウンターは、手札に青がダブつかないケースが少なくないので不採用。Willのfoil買えてないし
・統率者ピッチについて ナーセットは呪禁があるのでまあまあ場持ちがいい。安全に展開→着地することを優先したいのでキャスト前に仕事をしないカードの採用は相性が良くない。
繰り返しになるが妨害枠は最低限にしたいので、可能な限り幅の広いカードのみを選びたい。


-サーチ
悟りの教示者
神秘の教示者
長期計画
ギャンブル
Personal Tutor
Merchant Scroll

インスタントやソーサリーをデッキトップへ積み込むカードは《無限への突入》が最優先。勝利に直結するので温存したい。
・《悟りの教示者》 《マナクリプト》、《LED》や《さらなる速さ》を最優先でサーチしたい。もしくは《全知》だ。
・《ギャンブル》 《今を生きる》を優先してサーチしよう。外しても安心。
・《神秘の教示者》《Personal Tutor》《Merchant Scroll》儀式を探せることをうっかり忘れてしまいがち。


-再利用・ドロー
呪文ねじり
思い起こし
神秘の回復
Wheel of Fortune
意外な授かり物

追加の当たり枠。既に追加ターンやカウンターが墓地にあるor引いたカードを使うマナがある場合に限定されてしまうものの、かさましとして有効。
《Timetwister》は持ってないんで…。一応《呪文ねじり》の当たりを増やせるとか《ドラゴンの息》を墓地に落とせるとか差別化できる利点はある。《儀式》の都合赤マナが浮きやすいので《WoF》を優先して残したい。
ギトラグとかと同卓した時に使うと悲惨なことになるので気をつけよう。


-その他のその他
袖の下
液態化
嵐の伝導者、ラル
内なる火

ここはかなり好みの枠。
・《袖の下》 《呪文探究者》や《永遠の証人》みたいなサーチ&再利用生物を探すのが主。
相手によってはかなり制圧力のある生物が奪えるので案外バカにならない。
それでも今後有用な追加ターンor戦闘が増えた場合は抜けていくだろう。
・《液態化》 一番テキスト確認される。ブロッカー無視できて当たり率が増やせて無駄なく強い。
・《嵐の伝導者、ラル》 お試し枠。後述するが基本的に呪文をコピーするカードは採用しない。
+2が硬いので場持ちがまあまあ良く、マイナスが決まれば必勝。
欲張らずに攻撃前に+して、確実にターンを増やせるときのみ-マイナスを使おう。

他のサポートカードについて
渦巻く知識や巻物棚といったデッキトップ操作や、千年嵐や大群の諜報のようなコピー呪文は採用していない。
デッキトップ操作は、ナーセットの最速ムーブに合致しないためだ。
1~2ターンで全ての手札を使う勢いで加速する事が最優先であり、トップ操作+踏み倒したいカードを残したうえで十分なマナ加速を抱えてキープすることは現実的ではない。そもそもナーセットの能力は余計なサポートをせずとも十分に強力なので、当たり枠やマナ加速を減らすくらいなら初めから採用しないほうがいい。実質ジェネラル+2枚コンボ相当である。
呪文のコピーは、かなり好みによるところもあるが概ね以下の理由。
・コピー先が主に追加ターンしかない。追加戦闘はコピーしても意味がない(殆どが解決時にアンタップするので、コピーで増加した戦闘フェイズで攻撃できない)。
・追加ターンは単体で活かせないなら採用に向いていない。軽いものでも隙の大きい5マナのソーサリーであるということは忘れてはいけない。
・非パーマネントのコピー呪文(《余韻》など)は、追加ターンとセットで揃える必要があり不安定である。
よってコピーしなくても十分に働く構築になり、コピーは不安定なオーバーキルでしかないとの判断をした。
それでもロマンはあるので《嵐の伝導者、ラル》のみ採用している。
4マナと軽く、プラス能力もナーセットと相性がいい。
《アミナトゥの占い》で捲れると他とタイプが被ってないので非常にお得。
それでも将来的にデッキから外される候補であるが…。


繰り返しになるが、全体を通してナーセットの能力を活かすことに重きを置いた構築にしている。
ナーセットの強みとは"単体で能力が完結している"事に尽きる。
思わず追加でアレも欲しいコレも欲しいと煩悩を煽る強大な能力に振り回されず、過剰な力を求めない。それがジェスカイ道なのだ。


いつも口癖のように弱い弱いネガキャンしてるし実際やっぱりトップには敵わないのだけど、それでも好きだし楽しいので今後も使い続けていくと思う。ルーツリー…お前と共に戦いたかったぜ…。
「これはなんで使ってないんですか?」「こっちを優先している理由は何ですか?」みたいなのがあれば気軽に聞いてください。頑張って理由考えて答えます。


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寄せられた質問コーナー
Q:《踏み穴のクレーター》は?
A:正直忘れてました。追加する候補としてはありだと思います。ただ常に+1マナ分の要求されるのが微妙だなって思って使ってません。《たなびく真紅》や《ドラゴンの息》に加えさらに余分なマナ要求が必要な速攻付与を増やすくらいならリスク承知で《特権》や《恐慌》の方がいい気がしなくもなく。ただ試してないので十分採用に値するカードではあると思います。

コメント

nophoto
かず
2021年2月28日23:09

こんばんは!
デッキレシピのリンクが切れているようですが、リストは見ることはできませんでしょうか?よろしくお願いします。

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